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be Blog Vol.11【いのちのスープ】

be Blog Vol.11【いのちのスープ】

料理研究家の母親を持つ彼女の父親が脳血栓の再発で入院して嚥下困難になりました。
その時に自家製のスープを母親と交代で届け続けました。

 

日本の食に提言を続ける料理家 辰巳芳子さんが病床の父のために工夫を凝らして作り続けたスープは、やがて人々を癒す「いのちのスープ」と呼ばれるようになりました。

疲れている時に美味しい出汁のスープを飲むとホッとして肩の力が抜けるでしょ、と彼女が言っていた意味がとてもよくわかりました。
スープには栄養がつまっていて、液体だから飲み易くすぐに身体の仲間で浸透する感じがします。

エビをゆでた時の殻の出汁もそう、しいたけをもどした時の出汁もそう、美味しくって栄養がつまっているんですね。
ちょっと塩をいれて、ちょっと生姜を足したりして。。。体調の悪い時に、お米を少しとお湯でトロットロの重湯にしても身体が疲れていると
すべての栄養が身体に染み渡る気がして、そんなものをたまに食べます。

重湯も食べれない時にはスープなんでしょうね。

彼女のことを知ったのはテレビの特集番組でした。
料理の仕方は出汁からきちんと取り、作り置きをせずに使う時にすべて作業をするというスタイルです。
デトックス効果もあり栄養がつまった場所をすべて食べるんだそうです。すばらしい、薬のかかっていないいい野菜じゃないと怖いですが。。。
野菜のきれっぱしからフィトケミカル(植物中に存在する天然の化学物質)が接種できるんです。トマトのへたやエビの殻からは、植物性化学物質(えぐみやにがみ)が出ます。

かつをぶしはその場で削ります。いい香りがするんですよね。箱状になっていて削れたやつが引き出しにいっぱい入っていて子供の頃に楽しかった思い出があります。

彼女がミキサーを使わない理由は、素材を「粉砕」するからです。
すりこ木ですったり、裏ごししたりするのは、一種の「融合」なのだそうです。
便利な機械でやる「均一的な粉砕」とは違うんですね。

また、鍋が美しいかどうかで美味しさが変わるんだそうです。
「美しくない鍋、美しい景色を持っていない鍋で作った料理は、おいしくないんです。」
野菜たちがあるべき姿、きれいな手仕事で下処理されているときっと一番美味しく食べれるのでしょうか。
出汁をきちんととった食事が繊細で本来の野菜等の旨味を引き出しているのは、美味しい日本食等をいただくとさすがに手間ひまかけてるなと思います。

家庭で出来るかどうかは、スローライフに重点をおいた生活でないと、難しいと思います。
「食」は生きる時に必要なことです。きちんとした生産者の見える食材を上手に美味しくいただけるのが本来あるべき食の姿でありたいですね。

彼女いわく、、、菜っ葉を茹でるの、日本人は下手です。

おひたしを茹でられない人が多いようです。病院で出てくる青菜が硬すぎると言うと今度は、くったくたに煮て、ビタミンも無くなってしまいます。

菜っ葉の「軸」と「葉先」は別々に茹でる、はじめに葉先を茹でて、そのあとに茹でたお湯に軸を入れて、もう少し長くゆでる。
ちょっとしたことで美味しく出来る、ひと手間が大切なのです。

病人にとっては食べることが楽しみだったりするので、まずかったら元気になる助けにならないですね。

彼女のお料理教室は3年間通えることが条件なのですが、希望者が数年待ち状態です。
89歳の彼女がいつまで教えられるかわかりませんが、丁寧な生き方を教える活動を今も続けていられるのは、命のスープがあるからなのでしょうね。

鎌倉にあるお料理教室での先生の顔はとても厳しいです。すぐ怒るんです。きっと手を抜いたりする妥協は一切許さないのでしょう。
怒れる程お元気なのですね。怒られるかもしれないのに、教室が数年待ちなのは今出汁をきちんととり、まともな食事でなくなってきた世の中に
少しは何か違うと思う人もいるからなのでしょうか。

自分たちが食べるものは自国で賄う必要があると考えていくことが大切だと思います。
地産地消していくことが頼らずに生き抜くことにつながりそうですね。

伝統や文化の象徴である日本食に、今世界の注目が集まっています。日本食を見直し食生活を考えて行く事で、ダイエットなんてものもなくなるような気がします。
長い年月の中で日本人には日本人にあった食生活があるのです。

辰巳さんのいのちのスープが映画化されています。
手仕事の「手」が美しそうです。今度観てみようと思います。

『天のしずく 辰巳芳子“いのちのスープ”』監督・脚本 河邑厚徳


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